平成21年年頭挨拶

神戸市東部水産物卸売協同組合
理事長  村上義國

継続は力、信念を持って

  新年明けましておめでとうございます。新年を迎えるに当たり、皆様方のご健勝とご繁栄を心からお祈り申し上げます。
 今年は丑年です。この厳しい時代に粘り強く噛み砕くように確実に対応していきたいものです。
 さて、昨年はサブプライムローン問題に始まる金融システムの危機から、世界経済の同時不況へと危機の重心が移行した1年でした。金融システムの破綻は未曽有の流動性供給という国際的な緊急対策の協調でまずは回避されましたが、信用の急激な収縮による実体経済の衰退は始まったばかりです。
 ところで、近年中国をはじめとする世界的な魚食ブームにより、国際舞台での魚介類の調達が難しくなる一方で、国内では、食生活の変化により、いわゆる魚離れが進行しております。また、原油の高騰に絡む全国一斉休漁や、消費者の信頼を裏切る、ちりめんやうなぎの産地偽装事件など、私たち魚介類を取り扱う市場としてはよろしくない状況が続いております。食の安全が脅かされる事件が頻発している昨今では、食の安全に対する我々の役割はより大きなものとなっており、大切なお魚のブランドに傷をつけることがないようにしなければなりません。
 中央卸売市場を取り巻く環境は、今年4月からの卸売手数料の弾力化により、ますます市場間競争が激化するものと思われます。又、世界的な水産需要の拡大や漁獲規制の強化等で、水産物の確保が難しくなっている現実があります。このような厳しい経営環境の中でいかに生き残っていくかが、我々に課せられた大きな課題であります。そのためには、市場の活性化は必要不可欠なことであります。東部市場では、その一つの施策として「東部市場モニタ―の日」が昨年本格実施されました。これは、東灘区・灘区連合婦人会の皆様に、場内を自由に見学していただき、消費者の視点を今後の市場運営に活かすことを目的としています。このように、消費者にとって、魚介類がさらに身近な存在になるよう、関係者一丸となって信頼回復と魚食普及に向けた地道な取り組みを行い、わが国の魚食文化が一層高まっていくことを願っております。
 東部市場は、今年で40周年を迎えます。諸先輩方が艱難辛苦を乗り越えて築かれた歴史の灯火を途絶えさせることなく、次世代に向かって継続していくことに全力を尽くしていく所存です。
 それから、私事で恐縮ですが、昨年図らずも栄えある黄綬褒章を授かりました。これも業界の皆様方の多年にわたる温かいご指導ご教授のおかげだと心より感謝申し上げます。今後は、この栄誉に恥じることがないよう一層精進致し、微力なりとも社会と業界に貢献致して参る所存でごさいますので、今後ともご指導ご厚誼を賜りますよう心よりお願い申し上げます。